【人】 1年生 朝霞 純>>207 [ゆるく首を振って、意識の覚醒を促して。 不思議な印象の夢だったな、なんて思いながら、入院している間にすっかり習慣になった、目覚めたときにスケッチブックに描いた林檎の絵と津崎さんからもらった絵葉書を眺めるということを、いつも通りやろうとして。 スケッチブックを手にとって、ページを捲って、そこに緑色の封筒を見つけた。] …。 [得体の知れない封筒に対して、然程恐怖感はなく。 私は封筒を開いて、便箋を取り出した。 綴られていたのは、小泉さんの言葉。>>6:105 記憶を喪っていたときのこと、私への印象、これからのこと。 私は何も小泉さんに返せなかったのに。 小泉さんは死の間際に、私に手紙を遺してくれた。 私は思い出す、あの時、最期の表情を看取ったことを。 あの笑顔を。>>6:122 私は、深く息を吸って、吐いた。] (208) 2022/09/18(Sun) 20:05:22 |