【人】 1年生 工藤美郷──回想・友人と言うもの── [それから、工藤は朝霞さんとは一見ドライな関係を築いたか。 ごく普通の友人らしいことはしない。例えばそれは、一緒に研究室のメンバーの色恋沙汰について噂話をしたり、テレビやSNSの話題をを楽しむなどのことだ。 しかし何をする時でも、彼女がそばに居ることを拒絶しなかった。] 朝霞さんが居たいならここに居ればいい。 [そのようなスタンスで、朝霞さんが病室を訪れれば必ず受け入れた。それは工藤が退院して、訪れる場所が自宅になろうとも変わらなかっただろう。 工藤から進んで話しかけることはほとんど無く、朝霞さんが話しだせばじっと目を見つめた。沈黙が二人の間に落ちれば、無理に話題を探さずに、ただ二人で静かな時間を共有した。工藤は大抵の時間、何かを描くか書くかして過ごしていたから、筆記具の走るサリサリという音だけが二人の間に落ちていた。] (213) 2022/09/18(Sun) 20:39:54 |