【人】 空虚 タチバナ[カナとはきっと同じ時期に入院していただろう。 生きている頃に顔を合わせたこともあるかもしれない。 しかし自身は何に対しても無気力で、 彼女はいつだって■■さん≠求めていた。 故に、私が彼女を認識したのは命が尽きてからだ。 動く心配のなかった自身とは違い、 彼女はただひとつのことに対してまっすぐだった。 だから初めてその姿を認識した時、 拘束された手足を見て驚いた表情を浮かべたと思う。 しかし彼女がそれを物ともせず歩き出した時、 自身の胸の穴と同じようなものかとも感じた。 死んでいるが故に、意味を成さないカタチ。] (218) 2022/08/11(Thu) 3:02:20 |