
![]() | 【人】 温感喪失 バレンティン[ この宮の外は、そんなきれいごとが 通じる世界ではなかった。 男が住んでいたのは、互いに助け合って 生活しようとする者が多い区域であったが、 それは貧しいながらに仕事があり、 命を繋ぐぐらいはどうにかできたからだ。 だが、貧民街では奪い合いばかりが横行し 人を信じてはバカを見るのだという。 まさに「真面目にやっては損をする」世界だ。 この宮の暮らしは質素で娯楽も乏しいが、 奪い合いとは無縁で、命を繋ぐのにも苦はない。 平和で穏やかな暮らしだ。 感覚を各々ひとつ喪っていることを除けば。 ]* (218) 2024/08/25(Sun) 21:06:47 |