【人】 無表情 トオル「いよいよ時間だ!行くぜ!」 [威勢の良い開幕の発声に、更衣室内はにわかに活気付いた。そんな中でもまだ頭を抱えて座ったままのトオルに、光明と呼ばれていた男子生徒が声をかける。] 「行きたいところがあるなら行っていいんだよ。」 [トオルは一瞬考えたが、覚悟を決めることにした。…行こう! それは、幼い頃から病気を持っていたことで小学校もろくに通えず友達もおらず人と関わらずに生きてきたトオルの、初めての一歩への覚悟だった] [舞台の上に立つと、手足が震えた。和太鼓の演奏自体は授業の課題になっていたため、練習したことがあった。熱気に圧倒されながらも、音に合わせて手が動くのに任せて、必死に叩いた。 次第に薄れていく緊張感。それと同時に、今までに感じたことの無い高揚感を感じていた。] (222) 2020/06/19(Fri) 17:56:27 |