【人】 三年生 神田 京平[京平がまだ狐の面を身につける前の子供の頃 よく見える自身の目に怯えてはなひら神社へと今日も逃げ込んでいた その日は大雨で 傘なんて持っていなくてずぶ濡れで神社の階段の隅に 小さく体育座りをして寒いと震えていた まるで捨てられた犬のような子供 そこに偶然か通りかかった学生が当時の落川先生。 それが京平の知る最初の出会いだった。 高校で再会した時には狐のお面で顔もわからないだろうしと 「はじめまして〜」なんて挨拶したはずだ。 それから先生が捨て犬を拾ったと学校で噂が広がって その理由も風の噂で耳に入ってきた時には 「変わってへんなぁあの人も」なんて感想が出ていたことだろう。 そんな自分と同じようなワンちゃんに親近感を抱き 大人気だったワンちゃんの隙間時間にこっそりひっそりと 様子を見に行ったり遊びに行ったりしていた。 引き取り手探しの時は 自分も探しすのに協力したいと名乗り出てはいたものの 誰もいなかったら 自分が立候補しようと親の承諾までぶん取ってきていた はたしてその後の行方はどうなったか────。] (229) 2021/07/24(Sat) 10:31:48 |