
![]() | 【人】 視覚喪失 エレノア[道中、そう遠くないはずの道のりが、かなり遠く感じた。 ベリニの腕を頼って、壁のないところをおっかなびっくりと歩いていく。 結構、情けない姿を晒していたかもしれないが、そんなところまで気は回らなかった。 丁寧な先導に時折ありがとう、と感謝の言葉を述べながら。 たまにベリニがぐっと、身体に力を入れるのが腕から伝わってきた。>>208 特に大きな問題なく、段差へと辿り着く。 コツ、コツ、石床を叩いていた杖の音が柔らかに変化して、ベリニの腕を掴む手に思わず力がこもった。] 『あっ、痛かったかな。ゴメンよ…』 [深呼吸をして心を落ち着ける。 前回、段差ですっ転んだことを思い出すと、どうしても緊張してしまう。 それは恐怖か。 少し待ってもらって、ゆっくり呼吸を繰り返す。何度か杖の先の感触を確かめてから。] 『ゴメン、待たせたね。中庭に出ようか。』 [ベリニの腕に力をこめすぎないように、転ばないよう慎重に、ゆっくりと段差を降りた。] (229) 2024/08/25(Sun) 21:38:42 |