【人】 二年生 田邊 夕鶴[ここで一旦、話は遡るのだけれど。 時はユニフォーム戦国時代。 新入部員獲得に各部がしのぎを削る中、 今の三年が抜ければ廃部寸前の我が書道部は、 春の部活動紹介において、袴姿にたすきを掛けて、 華やかな書道パフォーマンスを披露する事で ぜひとも我が部に、と一年生を勧誘していた。 うちに入れば、こんな事できますよ、の他に。 こんな格好ができますよ、というのは、 動機としては少々不純かもしれないけれど。 あの部もその部もこの部だって、 しっかりアピールしているわけで。 つまりどういう事かというと。 通販で購入した洗いやすさが取り得の上下セットは、 和装という物珍しさはあっても、 華やかさなんてちっともなくて。 運動部と変わらない……どころか、 防具を着けた弓道部員と比べると、格好良さでは数段劣る。 これではいけない!と頭を悩ませた先輩部員達は、 文化部ならではの、何かこう…… 文化的なユニフォーム用の袴セットを欲していた。] (231) 2021/07/22(Thu) 13:51:53 |