【人】 「邪毒」 スカリオーネ――街路―― [雑踏に紛れ歩く男は周囲の熱気の中では浮いた存在であった。 熱狂や狂騒に憑りつかれているわけではなく、それでいてヒトを見て歩いていた。 視線は真剣そのものだが見ているのは肌である。 惜しい、もう少し、後僅かと勝手なる評しては『美』を披露する者たちを心の中で応援して回る。 男とてかつては中心近くまで行ったことがある身だ。 星が輝く様を見るのは好きなことである。 だが、同時に嫌悪ではなく感情を分析するならば羨望や嫉妬と言った類のものを覚えてしまうことがある。 星が最も輝く手前、その感情はとても強くなり客として着ていれば下衆な行為に及んでいる――と] おっと……危ないな。 [>>219小さな悲鳴と共に誰かがぶつかった衝撃が走る。 男の体躯であるから跳ね飛ばされることはなく、声の主が正しく声の通りであれば若い女であろうからと手を伸ばす。 雑踏の中で唐突に立ち止まるとより危ないと頭を下げる女性を路の端へと連れていく] (233) 2022/11/22(Tue) 23:53:48 |