【人】 事務員 深瀬賢彼女たちが事務所に訪れたのは、ちょうど私が最近話題のラノベ、『滝夜叉様は恋をする』>>61の最新刊を読んでいた時。 どうやら、彼女たちは私のクレープをご所望らしい。 「構いませんよ、少し待っていてください。」 事務室据え置きの冷蔵庫から、下ごしらえを済ませてある生地を取り出し、 理事長に内緒で 増築したキッチンスペースでフライパンを温める。合間に、もう一人の『私』が彼女たちへとコーヒーカップを差し出し、プロのバリスタの如く腕を高々とあげてミルクを注いでいく。 ――原理は良く知らないが、より高いところから注いだ方が美味しいらしい。 (237) 2024/11/14(Thu) 5:56:57 |