【人】 3年生 武藤景虎[残された時間はわからないが、もうすぐかもしれないとは思っていて。 まだ此処に在るってことが腕の中の体温でわかっていても、確かめるみたいに口付けを交わしても、唐突に、ふ、と掻き消えてしまうのかと思うと胸が苦しかった。 消える瞬間は誰にも悟られないように一人でいた方がきっと良いってわかってる。 みこが消えた瞬間の安堵と不安の混じった感覚は人が減るほど不安が増すだろうから。 そう理解はしてるのに。] ……オレが起きるまで、そばにいてもらっても良い? [泣かせたくないと思う癖、消えてしまう時までそばにいてほしいなんて。 ひどく残酷で我儘なことだとわかっているから、ごめん、と零した謝罪は息だけの微かな音でしか吐き出せなかった。]* (240) 2022/09/09(Fri) 12:26:46 |