【人】 元子役 辺世 流[珠梨さんと] 少しだけ気になることはある。 が、多くのものを隠しているのは間違いなく僕の方だから、しばらくは普通に楽しい一時を過ごすことにした。 このひと時だって、何にも代えがたい時間に違いない。 「ブルー・ラグーン?ぴったりの名前だね。 …うわ。すごい綺麗な蒼。」 運ばれてきたカクテルを目に、ため息が漏れる。 嗜む程度と言っても、グラスを前にそう口にする彼女は昼間の喧騒の中とは違って、見惚れていた。 少し会話が途切れる中、珠梨さんと目が合って、小首を傾げ微笑む様にどきりとして、気恥ずかしさに僅かに目を逸らしつつ、また口を開く。しばらくはその繰り返し。 (244) 2022/08/02(Tue) 18:46:42 |