【人】 1年生 朝霞 純>>243 あなたを選ぶことは出来ない。 私は、もう一人の工藤さんと帰る。 でも、それは小泉さんとか松本さんが、もう一人の工藤さんを気にかけているからじゃない。 [誰か、を理由にするのは、もう、してはいけない。] 私が彼女と帰ると決めた、ごめんね。 [あなたと仲良くしたかったけれど、それには私が死んでいる必要があった。 そんなもしもの話はしない。 所詮、出来ないことなのだから。] 私があなたに残してあげられるものは、その一枚のハンカチだけ。 それが私があなたに贈れる、精一杯の想い。 そのハンカチが、私の心。 だから、一緒には帰れない。 [はっきりと、そう告げた。 彼女は生きたがっている、その気持ちを分かった上でなお、それを許さない言葉をかける。 目の前の工藤さんも、もう一人の工藤さんも生きている。 両方とも生きることを望んでいる。 でも、生きていけるのは一人だけ。 どちらも生きる資格がないなんてことはない。 生きることに本来、資格や許可は必要ない。 でも、私は彼女が生きることを否定する。 もう一人の工藤さんと帰るために。] (244) 2022/09/11(Sun) 12:48:22 |