
![]() | 【人】 味覚喪失 ラグナ― 昼:アルマ ― [名前を覚える事は大事だった。それすらもできないようなら役立たずとして排斥される、そうした雇い主に雇われていたから。…まあ、当時任された仕事は肉体労働ばかりで、誰かの名前も物の名称も覚える必要に乏しかったのだが。 ともあれそうした経緯から、顔と名前はしっかりと覚えた。 それ以外の理由は特に、持てていなかった。] 普通の事だろう、名前を覚えるくらいは。 [だから喜んでいる様に聞こえるその言葉に幾らかの申し訳なさを覚え、なんて事も無い事をしただけだと返す。気持ちの表れか、平素より声は小さくなった。 文字はやはり読めない。が、 神官になんて呼ぶかを直接声にして貰い、聞いて覚えた。 副次的にその記号がそう読むのだという事も覚えられたが。 …先程もスカラに指摘されたが、どうやら俺が本を『見る』のは人に知られている事らしい。] (246) 2024/08/26(Mon) 1:38:00 |