【人】 1年生 朝霞 純>>249 [工藤さんは度々猫のクリームパンを作っているようだった。>>221 クリームパンはアレルギーに引っ掛からずに食べられるので、私は何度かご相伴に預り、クリームパンを食べた。 正直に言って、美味しかったと思う。 でも彼女は食べる度に、表情には出ないけれど、何度も何度も咀嚼して飲み込んで、少し間を置いて、また食べてを繰り返していて、何となく、出来に納得してないのかなとは思った。 “作りたいのと違う味になりました” 言葉を聞いて、頷いた。 そんな風に彼女が拘るのは珍しい。 上手くやれないことを繰り返すイメージがなかった。 彼女が何度も悩みながら、クリームパンを休みの度に作るのを見守って、食べて、やっぱり納得しない様子で作り直して。 その様子を見て、小泉さんのことを思い出す。 工藤さんは毎回クリームパンを猫の形に成型して、顔を描いて完成させる。 それは彼女が自分からは決してやらないことのように思えたから。 きっかけがあったんだと思う。 猫のクリームパンに拘るきっかけが。 どうしても再現したいという味を知ったきっかけが。 そして、それはもう自分で再現するしか触れる方法がないのだ。 その思い出の味には。] (250) 2022/09/19(Mon) 0:24:54 |