【人】 大学生 寿 達也……。 [緊張しているのか期待しているのか、胸のドキドキがうるさい。 どんな相手が来るのだろうか。さっぱりわからない。 自分が述べた希望は大枠すぎて、マッチングする方も困っただろうに、と苦笑しながらエレベーターで上がっていく。 案内された部屋番号の前で1つ深呼吸をしてから、ノックをした。 カードがあるのだから、相手が出てくるのを待つ必要もない。 鍵を開けてからドアノブを引いた。 自分は知らなかったのだ。 高級ホテルのドアは分厚くて防音に優れているということを。 ドアベルをなぜ押さなかったのだ、とあの時の自分に言いたい。 そしてなぜ相手が出てくるまで待たなかったのだ、となじりたい。 そして、知らなかったのだ。 高級なホテルはドアを開けてすぐにベッドが見えるなんて作りになっていないということを。 もし見えてたらそのまま帰っていたのに。帰れたのに。 ふかふかの絨毯を歩き、ベッドルームへと続く扉を開けたら、ものすごく見慣れた肌が見えて。 しかもズボンすらも脱ごうとしている様が見えて……持っていたバッグを床に落とした*] (253) 2021/03/17(Wed) 0:37:03 |