【人】 無表情 トオル「これ…食べる?」 [トオルが急に話しかけたせいか、少女は必要以上に驚いた顔をして、そしてパーカーのフードを急いで被って背を向けた。] 「私のことが怖くないの?」 「怖い?え、なんで??チョコ、嫌いだった?」 「…ううん。」 [少女がチロルチョコを受け取ろうと手を伸ばし、少し安心した表情でチョコを頬張っている。それからぽつりぽつりとトオルに自分の話をしてくれた。名は【しずく】と言うこと、小さな頃から体が弱くて入退院を繰り返していること、そのせいで学校で友達がなかなか出来ないこと…。しずくはまた涙目になって、フードをさらに深く被った。その動きに合わせて、彼女のパーカーからヒラリと一枚のポストカードのようなものが落ちた。真っ白な背景に紫の紫陽花が描かれている。トオルはそれを拾ってしずくに手渡した。] 「コレ、綺麗な絵だね」 「わ…私が描いたの…」 「え!?君が?すごいや、大人が描いた絵みたい!」 [しずくは自分の絵が褒められて素直にとても嬉しかった。絵を描くことは一番好きなことだったから。] 「この絵、なんだか君に似てるね」 「え??どこが??」 「君のその紫色のシュシュってやつだっけ?それ、この紫陽花みたいだね。君の白い髪によく似合ってる」* (254) smile 2020/06/16(Tue) 18:33:18 |