【人】 教会住みの娘 エヴィ[ ぽかん、と口を開けて立ち尽くす私に、 続くように周囲からもたくさんの拍手や 歓声が送られていて。 所在なく彷徨う目線は先程の男の子や、 酔っ払いのおじさん、それから あれは、あの時の異国の方>>246の姿をも 捉えたでしょう。 衝撃で瞬くことを忘れて見開いた瞳で恐る恐る 周りを見渡せば、一目でそれと分かる 王族の方までもが席をお立ちで。>>236 それを見て、そこで初めて足が、今更 がくがくと震えはじめてしまって、 まっすぐ立っている為に随分と力を 込めなくてはなりませんでした。 重ねて送られる、感謝。>>236 歌ってくれてありがとう、というその言葉は 胸をじん、と焼きました。 本来なら私が、歌わせて頂いたことに 感謝するべきなのに。 足だけでは足りず全身が震えて、 喉も上手く言葉を紡いではくれず、 私は胸のあたりの服をぎゅうと握って、 深く深く、頭を下げました。 ] (254) 2020/09/23(Wed) 14:27:50 |