【人】 新人看守 ダビー>>253 >>256 アマノ 瞬きを一つ。翠の世界に"敵"を映す。 目標は一体。ある程度相手の情報は得ていたが、杖の心得があるという話は聞いていない。 実力は未知数。相手にとって不足なし。手加減する道理もない。 目視で得物の間合いをある程度把握し終えると、男は呼吸を整えた。 「──」 躊躇なく地を蹴り上げる。 衝撃を受け止めきれず、変換されたばかりのロビーの床はばきりと甲高い悲鳴をあげた。 走るというより滑走すると言った方が似合うそれは、一度の踏み込みで数歩分も距離を縮める。看守長から賜った強化の後押しが常人の限界を容易く越えさせていく。 それは放たれた矢のように。愚かと呼べる程に清々しい直進だった。相手の攻撃を受け止める術があるのか、相手の出方を見る為か、或いは……杖を振るう前に懐に潜り込んでしまえばいいと思っているのか。 速度はあれど、囚人は始まる前からきちんと距離を取っていた。貴方にとって対応は決して難しいことではないだろう。 (257) 2021/10/01(Fri) 15:50:52 |