【人】 元子役 辺世 流「えっと、じゃあ歩ける?行くよ。」 割と酔っていそうだから少し心配はしたけれど、手を引いて歩き出す。珠梨さんのペースにあわせてゆっくりと。 向かうのは海沿いの道の途中、道路から少し入ったところにある、海に面した、砂場の上に作ったようにこんもりした小さな山。 何十段かだけ登ると、何かの小さな社があって、側には小さな展望台と座る場所だけがある。 どうやら僕達の他には誰もいないみたいで、展望台に着く少し前に、花火の弾ける音がした。 「おっと、始まったみたい。」 上に着くと、海と砂浜を見下ろせる場所。明るければ遠くにひとなつ荘も見えるだろう。登る頃にはいくつも大輪が打ち上がり、弾けるたびに僕たちの周りが少しだけ明るくなる。 (269) 2022/08/02(Tue) 23:49:10 |