【人】 魔術師 ラヴァンドラ夕刻ともなれば、人魚の彼は家にいたか。 何処かへ出掛けるというのなら、女は過保護を表に出し ローブに防御魔術を掛けて与えただろうけれど。 そうでないのなら、奥へ下がるように言い含めて。 扉を開ければそこには、 予想とは真逆の、可愛らしい少女が立っていた。 「 ―――― ぁ、れ 貴方確か、パイ屋で会った……? 」 女は思わずといった様子で小首を傾ぎ、 それから少し悩む素振りの後、彼女を招き入れる。 人魚の在り処が漏れたとは考え辛い。 ならば恐らく、目的は女の方だろうから。 (271) 2021/12/13(Mon) 11:41:53 |