【人】 教育実習生 青柳 慶「け、い…くん……」 唄、……なぁ、…なぁ……まだ、だって。 「……あ、い…して……る……」 行かないで、唄……。お願いだから………… 「ずっと、…一緒……だよ……」 [ 唄の手を両手で包むようにぎゅっと握れば、 息をするのもやっとの彼女が、 細々と、言葉を紡ぐ。 いつかくると、思っていた。 でも、こないでほしいと切に願っていた。 彼女は笑顔のまま、 天使に連れて行かれてしまった。 唄の両親は、もう蘇生を望まず、 慶の両親は、そっと廊下へ。 慶は、冷たくなっていく彼女の手をまだ握って、 涙を堪え、彼女の耳元で あ い し て る と囁き、酸素マスクの外れた彼女の唇に、 口づけを落とした ] (278) 2020/06/19(Fri) 23:16:38 |