【人】 灯守り 立春[会場から出て行った姉が心配で 居ても立っても居られなくなる少し前。 さっきまで苦しそうにしていた雨水さんが、 いつの間にかすっきり生き返ったかのような顔をして こちらへと視線を向けているのに気付いた。>>275 雨水さんの傍には夏至さんが立っていて、 どうやら私の出る幕はなかったらしいと知る。 事の次第は今ひとつ理解出来ていないけれど、 大事には至らなかったようでほっと胸を撫で下ろした。 ──と。目の合った雨水さんは、 どうやら自分へと頭を下げているらしい。 慌てて同じように頭をぺこりと下げ返した。 ただ心配しただけで、何か役に立てたわけじゃない。 それなのに頭を下げさせてしまって、なんだか申し訳ない。 でも大事なさそうで良かったです。本当に。 少し距離があっても伝わるように 安心しましたの気持ちを込めた笑顔を向けて、 生命にかかわるような事件事故は起こらないのが一番だけれど もしもの時にはお任せくださいね! と、 両拳を握って小さくやる気をアピールしてみせた。] (280) 2022/01/17(Mon) 18:52:32 |