【人】 蕃神 雷恩― 楽園:メディウムと ― [疑問に思っていたことが、ある。 植物同士を触れ合わせ、交わらせ、感覚を共有し。 その間に、伝わる貴女と君の感情。 それは、多少人間の方は拗らせているというか 素直ではないが、どちらも行為のようなものを感じていた。 ――なのに、それを人の方は口にしようとしていない。 その理由は、何なのだろう。と。 思索する。思案する。 それは自身の致死願望によるものではないだろうか。 と、大まかな仮説を、たてた。 これほど細胞と交わらせたなか。「彼女」と「貴女」の分離は 「貴女」はともかく「彼女」は多分「持たない」だろう それを望むということは、死にたいと同義である。 死に向かう彼女が、思いを封じるというのは理にかなっている。 彼女なら、そうするだろうとは性格も参照すれば容易に想像できた。 なお、実際はそんなことはなかったのだけれど、それはさておいて。 彼女の、消えゆくような感情の吐露を聞き。 ――安堵したのだ。これで死に向かおうとする足は、鈍るだろうと。] (281) 2023/11/25(Sat) 22:26:43 |