【人】 3年 櫻井 快人[あの日、はぐらかしたままになった答え。 彼女はいたことがある。ひとりじゃない。 男と付き合ってたこともある。それもひとりじゃない。 性別なんて二の次、三の次だった。 実はラブホは使ったことはほとんどない。 性欲は、1人でもコントロールできるから。 僕が恋人に求めたものは、相手からしたらささやか過ぎて、そうしてみんな離れて行った。 僕は結構、重たいものを要求してたのにな。 終わりはいつも、何の音もなくて。 誰かの隣に君を見つけて、ああそうか、って納得した。 寂しいね。寂しいよ。 だけどこの寂しさは、誰とも共有できなくて良い。 隠したわけでもないそんな話は、井田とか犬鳴なら、何となく知ってたかもしれない。 櫻井自身が得々として語る様な話でもないが、噂程度なら、誰が知っていても不思議ではない。 触れられても痛みはない、うっすらとした、傷跡の様なものである。] (295) 2020/11/12(Thu) 18:20:53 |