【人】 “観測者” 処暑[ さて、私が目を遣ることはあっても、此方を見つめる目に敏感という訳でもない。 故に、彼女が此方を見ていたのは気付かなかった。>>195 ――もう一人の隣人、『白露の灯守り』である彼女を私が見たのは、会場に入ったときや、大寒の彼女に話しかけている時。>>195>>196 隣の統治域、隣の灯守りではあるけれど、双方引きこもり気味の上に、双方人見知り気質。 会話した事は多くない。否……むしろあっただろうか? 灯宮の『鍵』を渡す際も、彼女の蛍に渡したり、領域のポストに入れて帰ったり、 はたまたローブのフードを目深に被っていたから、顔を良く見せなかったかもしれない。 処暑の統治域内は瞬時に移動出来るが、白露の領域を尋ねるには、白露の統治域を少し移動せねばならない。 故にローブを被るし、“外”に出るという慣れない事をする落ち着かなさで、「どうぞ」等と最低限の言葉だけ発していつも帰っている。 そんな彼女に、声を掛けてみようかと思われているとは知らない。 人と話すのは好きではない、と思っていたから。* ] (315) 2022/01/17(Mon) 21:52:41 |