【人】 魔術師 ラヴァンドラ――――― 光糸の先、小綺麗な住居へ辿り着けば 白猫は素直に家へ帰ろうとしてくれただろうか。 最後に一度くらい撫でてみようか、と指先を彷徨わせ 結局撫でることなく手を引っ込めて。 「 …… ねえ、テレベルム 天然モノのあったかい猫マフラー、 無くなっちゃった訳だけど。 ―――― 行き倒れたり、しない? 」 果たしてここから無事に帰れるのかを問う声音も顔も、 揶揄う意図など含んではいない。 行き倒れていた最初の邂逅を思い出し、 やや不安がっているだけだ。* (323) 2021/12/09(Thu) 18:44:10 |