#日本沈没編

だが、あいつは疎開服を脱いだ。
世の中に悲哀が満ちる中、あいつはコーデをすると言い。

次の日には青紫のハイカットスニーカーに白地に緑で玄関と書かれたTシャツと黒の手袋に若緑でスプラッシュ柄のセクシーなワンピースを合わせた出立ちで現れた。

「玄関はね。中から見たら出口だけど、外から見たら入口なのよ」

と、自信満々に言っていたが意味が分からなかった。

「このワンピース、セクシーでしょ？スプラッシュ柄は水飛沫のメタファー。沈みゆく日本を示唆しているの」

不謹慎にもほどがある。

「黒い手袋をしていれば、どんなに手を汚してもわからないわ」

何をする気なんだ。

あいつはとにかくぶっ飛んでいた。
ある時は卵天狗茸擬柄の着流しに変身ベルトを締めて金のエンゼル柄のべビ−カーを押しながら現れて、「服を貸し腕を貸しつかまつる、私は子連れライダー」と言っていたし。

般若風のラスク・マイドを着て「今最もアツい移住先はスウェーデン」と言っていた時は般若の顔をした人達に血祭りにあげられてもおかしくない所業だと思った。異常だった。