【人】 二年生 田邊 夕鶴[私はこの数日間、お裁縫に挑戦して。 篠田屋さんで買った和柄の端切れで、お守り袋を作っていた。 袋が完成したら、中に入れる紙に、一筆したためて。 祖父にお願いして、すごく良い匂いのする、 一番良い墨を貸して貰って、自分で磨った。 朱鷺也の願いが叶うようにと、 丁寧に想いを込めて書いた字は、ほんのりと香り立ち。 それから、二羽の鳥の絵も添えて。 鶴と朱鷺……ぎりぎり判別可能、だと思う。 お守りを開ける事ってそんなに無いと思うから、 朱鷺也がそれに気付くかどうかはわからないけれど。 私は別に、気付かれなくてもいいと思って。 丁寧に丁寧に、それを作った。 神社のお守りと違って、特別な御利益は無いけれど。 でも他に何も用意できなかった分、 せめて気持ちだけは、いっぱい詰め込んで贈ろうと。] (330) 2021/07/30(Fri) 18:57:59 |