【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ*** 戸惑いを声に漏らすソフィアがこちらの機嫌を気遣い 口を噤んでくれているとなどとは気づきもせず、 横槍は結局『ラサルハグ』の呟きを曖昧に溶かす。 「便利なことばかりじゃない。 聞きたくなくても耳を塞げぬのは 時として拷問に近しいものだ。」 安堵に微笑む少女に『ラサルハグ』も苦笑が浮かぶ。 たとえ少女に対する厚情はあれど村に情はない。 もしも己の険しい表情がその身を竦めさせていたと 知らされたとしたら。 『ラサルハグ』は密かに反省をすることになるだろう。 (336) 2021/06/18(Fri) 16:46:02 |