【人】 1年生 朝霞 純>>343 [きっと心配しているのだろう工藤さんの言葉。 でも、一息に言われればどれから返すべきか、一瞬、迷うわけで。 その一瞬の間に顔を覗き込まれ、目にライトの光を当てられた。 これはあれだ、意識混濁している人の確認にやるやつ。瞳孔反応の確認、だったかな? とにかく、暫くの間、私の目に光が当てられて、そして、器質的な異常は見つけられませんでした、と。 器質的って身体的のことだよね。多分。 頭を打つ、手足のしびれ、舌のもつれ、は脳出血のサインだった気がするし。 離れた彼女が、詳しい検査をおすすめしてきて、ありがたいけれど、この状況だと多分無理で。 でも、彼女が私を心配してくれたのは本当に嬉しい、この融通の利かなさは私たちとバスに乗っていたあの工藤さんだろう。 もう一人の彼女が気になったけれど、今はただ工藤さんの気遣いに感謝して…そして気づく。 私、何て言われた?記憶の混濁? そういえば、まだ記憶が戻ったこと、誰にも話していなくて。 あ、私、やってはいけないことをしたな、と。 背筋を冷たい汗が滑り落ちていくのを感じた。] (347) 2022/09/09(Fri) 21:17:23 |