【人】 ][『月』 エーリク―― 自室へ至る ―― [ 一人か、もしくは後ろについてくるものが いたか。この部屋に誰かを招くことなど 数える程度しかなかったもので、もてなすための 道具に持ち合わせはない。唯一、珈琲カップだけが ないと不便だからと、二対揃えていた。 ――もしかしたら露店でねだって 買ってもらったものかもね。 ベッドチェストの上には硝子のオルゴール そして隣に、羊のぬいぐるみ。半年ほど前に 贈られたもの>>0:529だ。 余談では在るが彼"ら"は兄弟である。 最初の年に貰った後、もう一人ほしいと クロに言った。 僕には兄弟というものがいないけれど 一人は寂しいだろうからと、言ったのは表向き。 本当は、縋り癖を直そうと、一人で 耐えているときに、構いすぎたがため すこし、傷んでしまっていたから。 ] (349) 2022/12/17(Sat) 21:42:35 |