【人】 ??? 工藤美郷──現在・朝霞さんと── [そうして朝霞が絵に腕を挿し入れるのを、女は静かな目で見つめていた。] ……私もよ。 [感謝している。アイデンティティを与えてくれた彼女に。 女の命を使って、強く為った朝霞を。 彼女の選んだ道は、平坦ではないかもしれないけれど。 朝霞の手が、眠る工藤の腕に触れる。かすれ往く景色の中で、朝霞に呼びかけた。] 私を連れて帰って。あなたの胸の内に。 あなたが迷った時、苦しんだ時、私のことを思い出して。 「私」があなたを見守って、寄り添っていると、想像して。 その想像が、あなたの力になる。私はあなたの神になるの。 [それがきっと、死と言うものだから。] (362) 2022/09/11(Sun) 22:55:49 |