【人】 XI『正義』 マドカ[島ってどんなところなんだろうね。 君が口にするから、僕はゆるりと目元を緩めた。] 広くは、ないかな。 でも、“外”との境界が明確であることは、 こことそう、変わりはないかも。 [君が興味を持ったようなら、ぽつりぽつりと語っただろう。 朝、窓を開けると吹き込む風に混じった、磯の香。 ]時折流れてくる、海鳥の声。 僕の故郷は、島群の中でも割合小さな島で、 1周するのに丸一日もかからなかった。 僕の生家は、島の中では一番大きくて、 ちょっとした由緒のある家だったけれど、 それでもこの洋館よりは小さくて。 そうそう、島で育てていた麦は、 大陸のものとは違うんだよ。 パンよりも麺類を作るのに適していて、 それも太くてちょっと重たい麺が美味しかったんだ。 (363) 2022/12/17(Sat) 22:26:38 |