【人】 XIV『節制』 シトラ[ もしかすると、あのひとの あのひとたちのところに行ったのかもしれない。 一番に思い浮かんだのはクリスタベルさんの顔だった。 クリスタベルさんに出会って アリアちゃんの背に隠れつつ初めましてをしたとき、 その挨拶に衝撃を受けたのは今でも忘れない。 穏やかな笑みを湛えたそのひとは それまでのわたしが思いも寄らなかったような存在で、 自分の生きてきた世界の小ささを 思い知るきっかけのひとつともなった。 ──クリスタベルさんが倒れたときのアリアちゃんは わたしがそれまで知らなかった表情をしていて、 彼女の為に何もできない自分の無力さを ]殊更に歯痒く思ったのも、忘れない。 (383) 2022/12/17(Sat) 23:06:56 |