【人】 “観測者” 処暑…………………こんにちは。麦さん ……そうですね、私は何時も通りかと [ “観察日記”に小満の彼と3人の蛍の事は記したけれど、 その一人である、小満末候・麦秋至の役を持つの彼女は、今日も変わらず、飽きもせず、私の元へとやってきて声を掛ける。>>398 私も常のように彼女を見つめて、それから間を置いて挨拶を返す。 彼女の事は、苦手な訳ではない。……否、最初は苦手意識があった。 “観察日記”を見たがったり、処暑の領域の事を聞きたがったり。 手帳を見せる事はなかったし、領域についても見た方が早いのではと思う性質なため、>>180 最初は言葉に詰まっていたが、最近はぽつぽつと話すこともあったかもしれない。 今の彼女に対する印象はというと、不思議な人間、とそう言ったものだ。 毎回という程、私との会話を望む姿。私の薄い反応に対して、構い続けるというのが理解が及ばない。 故に……不思議なものを見るように、一度沈黙をおいて反応を返すのが常。 ……とはいえ、そもそも彼女の今の在り方からして不思議なものだ。 小雪号の蛍を輩出する家の当主でありながら出奔し、何故か今は真反対の小満の蛍をしている。 どうして知っているのかと言われれば……彼女の生まれる前から灯守りをしているから、小雪の彼女を観察対象としていれば、自然と“見える”というものである。 そこに何があったか、までは知らないが、私の知る『蛍』の中でも 奇異な存在だ。 故に――興味深い。 だから彼女に対しては、少々接する態度が柔らかいかもしれないし……周りから見れば、そうでもないのかもしれない。*] (401) 2022/01/18(Tue) 2:26:47 |