人狼物語 三日月国

124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】


【人】 灯守り 芒種

[ 赤子の扱いなんて当然知らない見ず知らずのわたしに
  おぼつかないあぶなっかしい手つきで抱かれただけで
  さいしょから、ぴたりと泣き止んだ赤子もまた
  正気を疑う訳のわからなさで、気味が悪くて
  女性と赤子が正真正銘の母子であると実感できた。

  いろんな体液でぐちゃぐちゃな顔を、
  この領域では余り見ることが叶わぬ太陽みたいに
  きらきらと輝かせて眩く笑うその無邪気な笑顔は
  わたしの影を濃く際立たせるようで、恐怖を覚えた。

  どうせ花の名前なら、向日葵にしたらよかったのに。
  柔らかな亜麻色の髪をもつ、茉莉と名付けられた女の子は
  涎だらけの小さな手をよくわたしに差し伸べてきて
  汚いなと、思いながらも、
  その熱く湿った手に強く掴まれる気持ち悪さが、
  なぜだか不思議と、そんなに嫌じゃなかった。

  ……ものを知らないわたしは、わたしの正体を確かめもせず
  親切心だけで世話を焼く女性を都合がいいと思いこそすれ
  不自然と疑うこともしなかった。 ]
(412) yahiro 2022/01/18(Tue) 5:53:50