【人】 灯守り 冬至――番外:処暑の恵み [ 先代処暑からも恵みは受けていたが 当代処暑から初めて"米"を戴いたのは 当代に代わってそれなりすぐの頃だったかはさておき 処暑域で収穫できる米をおむすびにしたところ そのあまりの美味に 珍しく心の底から感銘を受けた。 故にその夜 人気の無い丑三つ時 処暑の住まう領域に生身の姿を現し 彼女の扉をこんこんしたのを覚えている。 就寝中の場合 起床するまで広がる畑を見る常識は持っている。 「どうか 収穫を手伝わせて下さい」 「あなたの領域は 心地良いですね」 「収穫のあと一緒におむすびを食べましょう」 「おいしいおむすびをご馳走します」 ――お礼と共に告げた言葉の行方はまた別の話 ] * (452) 2022/01/18(Tue) 16:56:20 |