人狼物語 三日月国

203 三月うさぎの不思議なテーブル


【人】 客 葉月

[咄嗟に断ろうとしたけれど、
(だって、そんな上手い話があるわけない。こんな俺に無条件で優しくしてくれる人なんているわけないんだから)
鳴り出した腹の虫には抗えず、そのままテーブルについた。

出てきたのは、ほわほわと柔らかな湯気のたつ芋ご飯だった。
その場に彼はいただろうか?>>432

もしそこにいたとして、芋ご飯がどういう日に出るのかなんて知る由もないから、その日の彼がどんな気持ちを抱えていたのかなんて俺は知らない。
ただ、出してもらったそのご飯はとても美味しくて──気付けば泣き出してしまったことを覚えている。
泣き顔を晒す俺のことを彼女は笑いも気味悪がりもせず、ただ側にいてくれた。

それ以来、俺はあの定食屋にちょくちょく行くようになった。
店主の彼女はいつも笑顔で出迎えてくれたけれど、孫の彼はどうだっただろう?話す機会はあっただろうか]
(471) 2023/03/02(Thu) 23:52:50