人狼物語 三日月国

203 三月うさぎの不思議なテーブル


【人】 厨房担当 ゲイザー


  ありがと、ハヅキ ……さん。
  少なくとも、俺は、って、教えてくれて。
  それに、心配、してくれて。


[引き止めてごめん、と言ったその人に、振り返りはできないまま、それでも伝える。
 混乱で過熱していた頭を冷やしたのは、追いかけてでも葉月が真正面から(速崎には顔は見えないが)届けてくれた言葉。そして、「お店で待ってる」と伝えてくれたこと。]


 今日は、もう、行かなきゃ。
 でも、お店、また、戻ってくるから。


[涙滲んだままなりになんとか笑えた口元は、互いに背を向けた状態では葉月に見えはしないだろう。
 それでも「戻ってくるから」の語には、努めて声に力を籠めた。はっきりと伝わるように。
 こうして速崎は、再び一歩踏み出して――駆けていく。]
(473) 2023/03/06(Mon) 9:26:32