【人】 車輪銀河 メレフ>>502 キファ 「もったいぶってる気はないが、 厳重なのはそうだな。」 最深部の底は、眩い光が射したりはしない。 蛍のような光以外にも、淡い色取り取りの光。 自ら輝きを放つ植物に似た何かの花畑。 「もし、妹が外を生きるのを拒んだのなら。 ここでずっと生きていける様に。 永遠に美しい物だけ見て死ねる様に。」 薄暗くても陰気ではない。 清涼な空気は奥を流れる滝の水を更に澄ませる。 透き通る環境音として、鳥と虫の声が相互に囀る。 「誰にも侵されない場所。 自ら閉じこもるなら、目を塞げる場所。 何を選んでも全てを叶えられる準備はした。」 空は、見る度に色を変える。 星空を望むなら、世界は暗く瞳に座が囁き掛ける。 青空を望むなら、世界は明るく己の姿を蒼に染める。 中央の棺は、黒髪の眠り姫が目覚めを待ち続けている。 ──彼が妹の為に作った、永久機関。 ここは小さな水槽であり、楽園であり、箱舟であった。 (505) 2021/05/04(Tue) 18:38:21 |