【人】 【残されたひつじ】 ハマル―――【日辻 春】は目覚めた。 その後の時間は怒涛の勢いで流れていく。 目覚めた直後119を叫び、呆気に取られる周囲を横目にタブレットを操作してあの場所で見た連絡先を忘れない内に書き連ねる。 周囲の静止を振り切ってデータと企画書を組み立てていく。 『ハマル』は約束を果たしたがっていた。 『日辻 春』もそうだった。 『日辻 春』には『ハマル』の願いを叶える義務があった。 だってもう片割れはいない。 あの青い青い海で別れを告げてきた。 『ハマル』の存在を示せる人間は、自分しか存在しないのだから。 (534) 2021/05/04(Tue) 21:52:18 |