
![]() | 【人】 これっくらいの 佐々本希#雪女編 ◆◆◆プレゼンB〜雪女、クラブへ行く〜◆◆◆ ――雪女の仕事、それは 人の命を奪い、魂を食らう事 (どうせ消すなら価値の無い奴らの方がいい) 20年前の ゼブラ柄のへそ出しニットワンピース 黄緑のフラットシューズ 服はこれしか持ってない 私の姿は目立つのか、奇異の目と忍び笑いに交じり話しかけてくる者も毎度少なくはない 頃合いを見てフロア中央で私は「力」を解放させる この瞬間はとても心地がいい 私の「力」は肉体は氷柱に、魂は持ち主である人間の本質へとその姿を変える 他人に気を使ってばかりで自分を放ったらかしにしている女は 蒸気のアイマスク 意識の高さ以外何も取り柄が無い男は 白地に赤みの橙で 達者と書かれたTシャツ 背伸びしたくてしてる厚化粧が幼い顔から浮いている少女は パリピっぽいブーツ 決して本心を見せない男と相手に粘着してエネルギーを吸い取リ続けるだけの女のカップルは 黒目が強調される カラコン 冷えピタ 俺はツッコミだからと言って、自分で何一つ発信できないメガネの男は スリッパ 床に落ちた憐れな魂を一つ一つ拾い集めていると、その中にカップに入ったアイスを見つける (あぁこれは...) 人懐こそうに話しかけてきたその若い男はサイリウムの輪っかを光らせながら、唯一人「その服、一周回ってかわいいじゃん?」とこの流行遅れの服を褒めてくれた その屈託の無い笑顔にはまだ少年の面影が有った カウンターに1人座り、アイスの蓋を開ける 一口、口に運んだ エッグタルト味のアイスクリーム とても甘くて、とても優しい味がした 2口目はどうしても食べる気にはなれなかった (618) 2024/12/01(Sun) 1:14:47 |