
![]() | 【人】 時は金 成村架純#雪女編 >>481プレゼン それは、ひどく寒いおおみそかの夜のことでした。 あたりはもうまっくらで、こんこんと雪が降っていました。 紅檜皮でマトリカリア柄のアンサンブルニット に、黒ゴマいなり寿司柄のレジ袋 のスカートを履いて、雪の結晶模様の5本指靴下 にスリッパ を履いて少女が歩いています。ほんとうは家を出るときに一足の 灰のローヒールのパンプス をはいていました。でも、サイズが大きくぶかぶかで、役に立ちませんでした。 ですのでスリッパに履き替えたのです。 「 丸ボーロ味のジャーベット はいかがですかあ…」少女の 獣の尻尾付ベルト の中にはたくさんの丸ボーロ味のジャーベットが入っています。手の中にも一つ持っていました。一日中売り歩いても、買ってくれる人も、一枚の銅貨すらくれる人もいませんでした。だって寒いし。少女は歩き疲れ、座り込んでしまいます。 お腹が空いて、手に持った丸ボーロ味のジャーベットを……一口。 口の中にひんやりとしたやさしい甘みが広がって…… ああ、冷たい。冷たいけれど、なんておいしいんでしょう! 少女は暖かい気持ちになって、 まあ、売れなかったけど自分で食べればいっか……という結論に思い至りました。 シャーベットを 氷水で濡れた手土産のスタバの紙袋 に入れて、これが自分へのご褒美ってやつ?たまには、いいわよね。満足して帰りましたとさ。めでたし。 (636) 2024/12/01(Sun) 2:06:09 |