【秘】 命灯癒光 リーディエ → 手探り ノル「……………そう、ですか」 私は、皆が遊んでいる様子を木陰から眺める事も好きだった。 優しい皆は私の力を知らないから、手を伸ばしてくれて。 でもその手に触れることが出来なくて、いつも苦しかった。 だから、いつからか木陰ではなく屋敷の中から見守ったりして。 本当は寂しかった。ずっと、悲しかった。 昔を思い出して、小さく吐息を零す。 戻りたい。戻せない。…… 痛い。 フィラメントの手を握り、休憩するように座り込んでからは──ぼんやりと、ノルの姿を眺めていた。 何処か、怪我をしているのだろうか。 暫くはそうして眺めていたけど、クローディオやユングフラウと違い不慣れな自分達ではやはり時間がかかってしまう。 「…フィル、ごめんなさい」 分かっていたことだけど、力がある人を呼べばよかった。 疲れた体に鞭を打つように、もう一度と奮い立たせ。 フィラメントの手を離した。 「………代わります」 そのままその手をノルに向かって伸ばし、スコップを渡すように視線をそちらへ。 どちらがやるのもあまり変わりは無いかもしれないが……朝になる前に何とか出来たらいいなって。 (-7) 2022/07/24(Sun) 14:45:17 |