【秘】 白昼夢 ファリエ → 寡黙 エミール「やっぱり。 お祭りも終わる頃だからそろそろかなって思っていました」 回り道をするような間をじっと待って、頷いたときに相槌を打つ。 その逡巡に込められた想いをまだ知らないけれど。 あなたのことだから脈絡もなく呼んだ訳ではないのだろうと踏んでいた。 ふっと浮かべた笑みはあの日張り付けた作り物ではない自然な笑み。 あなたが感じたように、憑き物が落ちたような様子は確かだった。 細めた瞳に舞う六花がそうさせるのかもしれない。 「……聖女様と?」 驚きに目をまんまるに開いて、明後日の方へちらり。 すぐに戻ってあなたを見た。 「どう思うと言われても、エミールがそう思ったなら間違っていないと思いますよ。 あなたって……ほら、よく人の事を見てるから。 こんなにたくさんの人の痣が光ったのもきっと寂しがりな所為だったのかもしれませんね」 否定も肯定もしない。 人差し指は口許で幾度か跳ねて、頬の横。 「私がどう思おうともう、何も変えられませんし。 だからやっぱり、どうとも言えません。 聖女様は聖女様。それだけ。そのままに思います」 「エミールは聖女様がそうだって思ったら、何か変わりましたか?」 (-10) 2024/02/16(Fri) 20:39:48 |