【秘】 命灯癒光 リーディエ → 手探り ノル貴方の言葉に頷いて、スコップを受け取る。 クロの為の穴を掘る時、クロの真似をしてたユン。 その真似をして頑張るけど、やっぱり上手くはいかない。 それでも諦める気はなくて、よろめきながらも必死で体を動かす。 目的が無くなったら、動けなくなりそうなくらい疲れがある。 だからノルの動きもあまり見えていなくて。 どこかを見てるってことくらいしか、分からない。 「……クロ、兄様。………フィル、兄様」 大切な2人。大好きな2人。……もう誰も、 頭の中で考えるのはフィラメントの言葉。 何かあっても、見失わないように。冷静に、自己を保って。 そうすれば、きっと何かが見えるはず。 「………………怪我、」 1度手を止め、ポケットの中。万年筆を布越しに撫でる。 小さな声での囁きは、穴を掘る音できっと掻き消された。 鼓動が早いのは一体どちらの意味で? 動揺は、しない。ここ数日での出来事を頭で思考するだけ。 止めた手をまた動かして、ゆっくりと息を吐き出す。 「…ねぇ、ノル。お水を……取りにいってくれませんか」 (-10) 2022/07/24(Sun) 20:20:58 |