【秘】 寡黙 エミール → 白昼夢 ファリエ>>-10 ファリエ 「いや……何も変わらない。 会ったとはいっても、全部夢だったと言われてもおかしくないし……顔はどうしたって見えなかった」 あなたの問に、軽く首を振った。 顔は見ることは出来なかったが、それでいいと思ったのだ。 自分は聖女に力を与えられたし、願いを叶えてもらえる。 所謂お気に入りの一人といったところなんだろう。 あの時言葉をかわしたのが本当は聖女じゃなかったとしても、全てが只の作り話だと思われても構わない。 大事なのは、夢の出来事も全て含めて、答えを決めたということだけ。 その、答えは――― 「実は……俺、死んだかもしれない両親に会えるんだよ」 「その……資格がある」 「でも、それを受けちまったら……アンタにも、子どもたちにも、二度と会えない」 遠い遠い場所に、行ってしまうから。 言い方は少し抽象的になってしまったが、意図はきっと伝わるだろう。 あなたの反応を伺うように、じっとその瞳を見つめて返した。 (-13) 2024/02/17(Sat) 20:07:53 |