【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク「謝られることは何も。良い物をいただきました」 己は目の前の彼の区分はいまいち理解に及ばないが、少なくともカフェーの女給らと違い、言葉を商品にしていなかったのやもと考えた。己も言葉それ自体よりも、発音する労力を要求したつもりだったし。取引って難しい。 「肉は、ないよりマシ程度の味でしょうね。 己も精肉の手練れというわけでなく、食後の具合の よしあしを保証できない。考慮しないこととしよう」 不安ならやめとこ。己も不安だし。 「して、何に気が進まないと言うのでしょう? 殺人に関して言えば己は今更なことであるし… …楽に死にたいと考えるのが人情では? 苦しんで死にたいと言うのなら、それはそれで考えますが」 拷問の場に居合わせた時のことを思い出している。無表情だ。 (-27) 2021/07/05(Mon) 11:14:38 |