![]() | 【秘】 遊蕩 ディルク → 寡黙 エミール>>-29 エミール 「……そっか、」 結局、答えに迷うのは自分のみかもしれない。 決意の色が見えたから、眩しくてつい目を逸らした。 「…うん、いいと思うよ」 「少なくとも僕は、その決断を否定しない」 貴方が少し、羨ましく思えるくらいだ。 手を伸ばしたいと思えるほどの誰かが、傍にいる。 それはきっと生きていく中で素敵なこと。 己が、得ようとはしなかったもの。 「…同じ境遇の人間の話が聞けて良かったよ。 それじゃ僕は、時間めいっぱい悩むとするかな」 そういって、貴方の隣から身を翻し、 いつかのように街の喧騒から離れていこうとする。 この別れが一時となるか、永遠となるか。 それを知るのは未来の話となるだろう。 (-30) 2024/02/18(Sun) 21:52:19 |